不可視光線
 
   太陽光に含まれる赤外線と紫外線は不可視光線と呼ばれる。
紫外線は合成樹脂(プラスチック)を光反応により分解して経年劣化する原因となる。また、その他の材料においても、
紫外線が劣化や変色の原因になるものは多い。太陽光に含まれる紫外線の一部は、発がん性を持つことも確認されて
いる。IARC(国際癌研究機関)の発がんリスク区分では「太陽光曝露」がGroup1(発がん性が認められる)に分類されて
おり、皮膚がんの発症要因の1つとされる。疫学的にはUV-C(地表にはほとんど到達しない)や、UV-Bによるがんにつな
がりうる遺伝子損傷が認められているほか、同人種間では緯度が低いほど皮膚がんの発生率が高いという研究結果も
ある。 
しかし、紫外線は殺菌作用を持つことが広く知られており、近年では有益な使われ方をしている場合も多い。紫外線硬化
インクを使用して印刷する場合、印刷後に紫外線をあてると固まる特性を持つため、ラミネート加工などを施さなくても、
看板など屋外に掲示する印刷物を作成できる。金属などの表面を検査する場合、紫外線を照射して顕微鏡等で撮影すると、
表面のキズ等が鮮明に映し出される。一般的に下等動物は紫外線を認識することが出来ると云われており、キノコバエ
などの害虫を誘引する装置が販売されている。 
 
赤外線は赤色光よりも波長が長く、ミリ波長の電波よりも波長の短い電磁波全般を指し、波長ではおよそ 0.7μm - 1mm
(=1000μm) に分布する。さらに、波長によって、近赤外線、中赤外線、遠赤外線に分けられる。近赤外線は波長がおよそ
0.7 - 2.5μmの電磁波で、赤色の可視光線に近い波長を持つ。性質も可視光線に近い特性を持つため「見えない光」として、
赤外線カメラや赤外線通信、家電用のリモコンなどに応用されている。中赤外線は、波長がおよそ2.5 - 4μmの電磁波で、
近赤外線の一部として分類されることもある。物質固有の吸収スペクトルが現れるため、ある試料にどんな成分が含まれて
いるかを調べる場合に用いられる。遠赤外線は、波長がおよそ4 - 1000μmの電磁波で、電波に近い性質も持つ。物体からは
必ず放射されていて、この現象を黒体放射と呼ぶ。高い温度の物体ほど赤外線を強く放射し、放射のピークの赤外線は
波長は温度に反比例する。防犯灯などで人や動物が通ると点灯するのは、赤外線を利用したセンサーが組み込まれている。
室温20℃の物体が放射する赤外線のピーク波長は10μm程度である。遠赤外線は熱線として調理や暖房など加熱機器に
利用される。